質問. 「ランチョン・マット」とかの「ランチョン」って、どういう意味ですか? 「ランチ」と関係ありますか?

回答. 「ランチョン」を英語に戻すと "luncehon"。 この "luncehon" の意味は次の2つです:

  1. フォーマルな昼食、午餐会
  2. 「昼食」を意味するフォーマルな言葉

2. の『「昼食」を意味するフォーマルな言葉』とは、言葉遣いの問題です。

例えば、総理大臣が他国の要人と昼食を共にした場合を考えてみましょう。

公的な記録なら次のような文体です:

「某月某日 〇〇総理大臣はXXX国の要人と午餐(luncheon)」

これに対して、総理大臣の子供(小学生)がその同じ昼食のことを日記に書くと、次のような文体:

「○月△日 パパは外国の偉い人とお昼ごはん(lunch)をいっしょに食べた」

同じ出来事(昼食会)を指すのでも文章によって使われる言葉が異なります。 1つ目の例文のようなフォーマルな文章(あるいは発言)で用いられるのが "luncheon" だというわけです。

したがって、2. の意味の "luncheon" が指し示す昼食それ自体がフォーマルだとは限りません

例えば、次のシチュエーション:


執事:「奥様、本日のランチョンはいかがいたしましょうか?」

マダム:「お豆腐だけでいいわ。 ダイエット中だから」

執事:「奥様、ランチョン(豆腐)をお持ちいたしました」


昼食の内容が豆腐という簡素なものであっても、執事が奥様に対して格調高い言葉遣いで接する中で用いる言葉なので、「ランチ」ではなく「ランチョン」となるわけです。

"lunch" という語よりも "luncheon" のほうが先に存在していて、"lunch" は "luncheon" の短縮により生まれたとされます。

"luncheon" も "lunch" も言葉の起源は不明瞭で複数の説がありますが、有力なのは次の説です:

  1. 1570~1580年ごろのイングランド北部の方言に、「パンやチーズの塊(かたまり)」を意味する "lunch" という言葉があった。
  2. 同じく 1570~1580年ごろ、この方言としての "lunch" が "nuncheon" の影響を受けて "luncheon" が生まれた。
    "nuncheon" は「午後に食べる軽食」という意味。 現在の英語でも使われている。
  3. 当初の "luncheon" は「パンの分厚い一切れ、パンの塊」という意味。「昼食」の意味で使われ出したのは 1750年ごろから。
  4. "luncheon" が短縮されて、「昼食」を意味する現代の "lunch" が生まれた。
    「昼食」の意味での "lunch" の最古の使用例は 1786年。

つまり、"luncheon" を挟んで "lunch" という言葉が別々に2つ存在すると考えられます:

方言の "lunch" → "luncheon" → 現代の "lunch"

"lunch" が生まれた時代を 1500年代後半~末期とする辞書がありますが、それはイングランド北部の方言としての "lunch"(おそらく現在では使われていない)が生まれた時代を記載しているのでしょう。

sacai×Reyn Spooner ジャケットLongman は、「昼食」を意味する現代の "lunch" が生まれた時代を 1800~1900年としています。

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